固溶体を使った光学分割法について論文を発表しました。

Chem. Commun.に固溶体を使った光学分割法について論文を発表しました。
Overcoming a Solid Solution System on Chiral Resolution: Combining Crystallization and Enantioselective Dissolution
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結晶化による光学分割では、所望のエナンチオマーが不要なエナンチオマーと別の結晶と分離されなくてはなりません。そのため、両方の異性体が不定比で混ざり合った結晶となる「固溶体」は典型的なトラブルとして認識されています。今回の研究では、医薬品であるオザニモドの合成中間体のキラルアミンが酒石酸誘導体と固溶体を形成することを融点相図を構築し確認しました。また三元系相図を構築することにより、固溶体となる場合でも再現性の高い光学分割を行えることを示しています。さらにジアステレオマー対の安定性の違いに着目して、エナンチオ選択的な溶解が可能であることを示しました。